以前使用していたビデオテープをまだお持ちの方は、ビデオテープの状態を確認してみてください。テープが白くなっている部分があったら、それはカビです。
ビデオテープに生えたカビは、すぐに取り除かなければいけません。
カビをそのまま放置していると、ビデオテープを二度と再生できなくなるおそれがあります。
子共の成長や若いころの思い出を失わせないためには、カビを生えさせないために適切な方法での保管と、カビが生えてしまったときに迅速な対処が必要です。
目次
1.ビデオテープにカビが生える理由
∟1-1.ビデオテープは密閉空間
∟1-2.バインダーを栄養源にカビが繁殖
2.カビの生えたビデオテープは再生できる?
∟2-1.基本的に見えないことが多い
∟2-2.ビデオテープが切れる可能性もある
3.ビデオテープのカビを取り除く方法
∟3-1.分解して掃除する
∟3-2.専門道具ビデオリワインダーを使う
∟3-3.業者に清掃を依頼する
4.ビデオテープにカビを生えさせない方法
∟4-1.通気性のいい場所で保管
∟4-2.密閉状態をキープする
∟4-3.1年に1回は再生・早送り・巻き戻し
5.ビデオテープの思い出をカビに奪わせない
∟5-1.ビデオテープをDVDにダビングする
∟5-2.カビの生えたビデオテープでもダビングできる
まとめ
1.ビデオテープにカビが生える理由
ビデオテープにカビが生える理由は普通のカビと変わりません。カビ菌は目には見えませんが、空気中に常に浮遊しています。カビが目に見える状態まで繁殖するには3つの条件があります。
- ・気温が25〜30度
- ・湿度が65%以上
- ・人の皮脂やホコリなどの栄養素
上記の条件を満たしたとき、ビデオテープにカビが発生するのです。
1-1.ビデオテープは密閉空間
ビデオテープはホコリが入らないよう、カセットケースで密閉されています。空気の流れがない空間は、湿度が高く、カビが発生しやすいです。
精密な動作を維持できるように密閉されたビデオテープですが、カビに対しては繁殖しやすい環境になっています。
1-2.バインダーを栄養源にカビが繁殖
磁気テープ、通称ビデオテープは大きく分けると3つの素材で作られています。
・テープ状のフィルム
・粉末状の磁性体
・接着剤のバインダー
カビは雑食で、なんでも栄養源します。フィルムと磁性体を接着するために使われた、バインダーも例外ではありません。カセットケースの密閉とバインダーの栄養素があわさり、ビデオテープはカビにとって繁殖しやすい場所になります。
2.カビの生えたビデオテープは再生できる?
カビの生えたビデオテープを再生することはおすすめしません。少量のカビでもビデオヘッドが目詰まりする原因になり、ビデオデッキ内部もカビに侵食されるおそれがあります。
ビデオデッキを痛めると、カビの生えていないテープも見られなくなるので、再生しない方が賢明です。
2-1.基本的に見えないことが多い
カビの生えたビデオテープでも、音声だけ聞こえたり、映像だけ流れたりすることがあります。ほとんどの場合、カビが生えた部分は磁性体がうまく読み取られず、映像は砂嵐になります。
2-2.ビデオテープが切れる可能性もある
カビの侵食が進んでいるビデオテープは再生すると、テープが切れるおそれがあります。カビが繁殖の際に、テープ同士を引っ付け、固着させていることがあるからです。
無理に再生すると、テープがうまく巻き取られず、カビの部分でテープが切れ、映像を見るどころか、再生もできなくなります。内容を確認したい気持ちをグッと堪えて、再生は我慢しましょう。
3.ビデオテープのカビを取り除く方法
少量のカビであれば、カセットケースの蓋を開け、洗浄液で拭き取ることができます。
作業は簡単ですが、テープ全体にカビが生えていると、すべて拭き終えるには数時間はかかります。かなりの根気が必要です。
3-1.分解して掃除する
自己責任になりますが、ビデオテープを分解して、カビを除去することも可能です。カセットケースからテープを取り出し、洗浄液を染みこませたタオルでテープの両面を拭きます。
カビが残っていると再び繁殖するため、拭き残しがないか確認しましょう。テープ全体にカビが生えている場合は、無水エタノールにつける方法もあります。
3-2.専門道具ビデオリワインダーを使う
ビデオテープのカビ取る専門道具として「ビデオリワインダー」があります。使用方法はビデオテープをセットし、クリーナーボタンを押すだけです。非常に簡単で1~2分でテープについたカビを除去してくれます。
とても便利なビデオリワインダーですが、現在販売はされておらず、中古で購入するしかありません。たまにオークションに出品されますが、価格は3〜5万円と高い金額です。
3-3.業者に清掃を依頼する
もっとも確実な方法は、ビデオテープのカビ清掃専門の業者に依頼することです。
料金はかかりますが、手間をかけることなくカビ退治ができます。サービスや金額は、業者によって違うため、自分にあった業者に依頼するといいでしょう。
4.ビデオテープにカビを生えさせない方法
ビデオテープをカビから守るポイントは、高温多湿を避けることです。カビは、テープ使用中に生えるのではなく、テープ保管中に生えます。ビデオテープ管理の仕方や保管場所を少し変えるだけで、カビの発生を抑えることができます。
4-1.通気性のいい場所で保管
カビは高温多湿の環境を好みます。ビデオテープを押入れや物置などに、保管している場合は、風通しのよい場所に移動させましょう。保管場所を変えられない場合は、定期的に扉をあけ、空気を入れ替えてあげましょう。それだけでも、カビの繁殖のリスクを減らすことができます。
4-2.密閉状態をキープする
カビを生えさせない方法の1つはビデオテープに接触させないことです。カビ菌がテープと接触しない、完全密閉の状態は繁殖する心配もありません。ビニール袋やゴムパッキンがついた防湿ボックスに、乾燥剤とともに保管しておくと、湿気が多い場所でも安全に保管できます。
4-3.1年に1回は再生・早送り・巻き戻し
ビデオテープの再生もカビ予防に効果的です。テープの再生・早送り・巻き戻しは、カセットケース内の空気を入れ替え、湿気を外に逃がすことができます。
カビが生えた状態で、長期間放置するとテープ全体に繁殖するので、早期発見のためにも、1年に一度はテープの状態を確認しましょう。
5.ビデオテープの思い出をカビに奪わせない
ビデオテープを適切に保管しても、100%カビがつかない保証はありません。子供の成長や若い頃の風景など「今では見ることができない映像」が詰まっています。
年数がたつと磁気が弱まり、映像の劣化やノイズが発生します。キレイな映像を残すには、DVDへの保存がおすすめです。
5-1.ビデオテープをDVDにダビングする
ビデオテープをキレイな状態で保管しておくことは難しいですが、DVDにダビングしてしまえば、保管は簡単になり、場所も取りません。ダビング方法は、自分でおこなうか業者に依頼する2つがあります。自分でダビングするときは、ビデオキャプチャーやVHS・DVD一体型レコーダーなど専門機器が必要です。
5-2.カビの生えたビデオテープでもダビングできる
カビが生え、砂嵐しか映らないビデオテープでも、カビを除去できればキレイな映像をダビングできます。ただ、正確な方法で処理しなければテープが壊れるおそれもあります。自分での対処に不安があるときは、カビ除去とダビングを同時に依頼できる業者に頼んでみましょう。
まとめ
ビデオテープに詰まった思い出をカビから守るための管理は、手間がかかり簡単ではありませんが、保管の仕方や場所を変更するだけで、カビから守ることができます。管理が難しいときは、DVDにダビングがおすすめです。
時間がたつごとにビデオテープは劣化し、映像や音声にノイズが入るようになります。失いたくない思い出があれば、DVDへのダビングを検討されてみてはいかがでしょうか。