VHSを代表するようなビデオテープは劣化しやすいため、長期保存するには細心の注意を払わないといけません。「思い出をキレイなまま残したい」と思っても、保存方法を間違えれば、映像を見られなくなるおそれもあります。
劣化しやすいビデオテープを長期保存するには、6つのポイントがとても重要です。
目次
1.ビデオテープは長期保存にあまり向いていない
1-1.カビで見られなくなる
1-2.劣化して再生不能に
2.ビデオテープを長期保存するための方法とポイント
2-1.高温多湿で保存しない
2-2.密閉状態で保存する
2-3.巻き戻した状態で保存する
2-4.寝かさず立てて保存する
2-5.磁気が強いモノの近くで保存しない
2-6.1年に1度は再生・早送り・巻き戻し
3.ビデオテープを完璧に保管しても見られなくなるかも
まとめ
1.ビデオテープは長期保存にあまり向いていない
昭和を代表するレトロなビデオテープ、何気なく使っていたり適当に保管している方も多いのではないでしょうか。実はビデオテープには弱点が多く、長期保存にはあまり向いていません。
- ・高温
- ・多湿
- ・直射日光
- ・過度な温度変化
ビデオテープはとてもデリケート。保存方法を間違えるとテープが変形したり、固まったり、カビが生えたりし、映像が見られなくなります。
1-1.カビで見られなくなる
ビデオテープを湿度の高い場所で保管していると、カビが発生することがあります。カビの生えたビデオテープは、ビデオデッキ本体を故障させるおそれがあるため、再生ができません。
また、カビに侵されたビデオテープはテープ同士が引っ付き、再生・早送り・巻き戻しの動作でテープに亀裂が入り、斜めに破れるおそれも。
カビの生えたビデオテープを再生するには、カビを取り除く必要があります。
1-2.劣化して再生不能に
長期間保存されたビデオテープは、テープの歪みや磁気転写などにより、次第に劣化していきます。保存状態が悪いと映像や音声に乱れが出ることもあり、再生できなくなることも珍しくありません。
ビデオテープは構造上頑丈に作られており、100回以上再生できますが、ずっと見続けられるわけではないのです。カビやテープ切れは、修理することができますが、磁気転写は治せないので注意しましょう。
2.ビデオテープを長期保存するための方法とポイント
ビデオテープの寿命は30年程度と言われていますが、適切に保存すれば30年40年以上、保管することができます。しかし、乱雑な扱いでは長期保存はできず、劣悪な環境では、10年も経過しないうちに見られなくなります。
ビデオテープを長期保存するためには、高温、多湿、直射日光、過度な温度変化を避けた、適切な保管方法が必要です。
2-1.高温多湿で保存しない
ビデオテープは熱や湿気に弱く、急激に温度や湿度が変化する場所で保管していると、テープ自体が変形し、再生できなくなるおそれがあります。
ビデオテープの保管場所によく押し入れが選ばれますが、押し入れはホコリや湿度があり、ビデオテープの保存には向いていません。
また、屋根裏や屋外の物置は、季節によって気温が急激に変化するため、こちらも保存には向いているとは言えません。できるだけ通気性の良い場所で保管するようにしましょう。
2-2.密閉状態で保存する
ビデオテープを保管するときに、もっとも気をつけたいのは湿度です。
押し入れなど、湿度やホコリがある場所に保管するときには、ビデオテープを本体カバーに入れて、防湿ボックスなどに入れて収納しましょう。
また、収納時に乾燥剤や防カビ剤を一緒に入れておくことで、カビの心配をする必要がなくなります。防湿ボックスがないときは、ビニールやプレスチックボックスなど、密閉できるモノのなかに防カビ剤を入れて保管しましょう。
2-3.巻き戻した状態で保存する
ビデオテープを巻き戻さずに保存していると、テープが変形し、うまく再生できなくなることや再生中にテープが切れるおそれがあります。
再生途中で取り出されたテープは、つねに空気に触れている状態で、ホコリなどが付着し、映像が乱れる原因になります。視聴後は必ずテープを最初まで巻き戻した状態にしてから、保存するようしましょう。テープを完全に巻き戻すことで、テープ表面にカビが付着を防ぐこともできます。
2-4.寝かさず立てて保存する
ビデオテープを寝かした状態で、積み重ねて保存すると、本体が重さで歪み、変形するおそれがあります。変形したビデオテープはビデオデッキに入れることができなくなり、再生できなくなります。
ビデオテープを長期保管するには、1つ1つカセットケースに入れ、立てて保存するようにしましょう。
また、カセットケースはビデオテープの変形を防ぐだけではなく、湿気やホコリ、紫外線から守る役割があります。今後、10年20年と保存したいと思うなら、入れておくことをおすすめします。
2-5.磁気が強いモノの近くで保存しない
ビデオテープは微小な磁石が並ぶことで、映像を記録しているため、磁石を近づけると映像データが消えるおそれがあります。
「磁石をわざわざ近づけない」と思うかもしれません。しかし、磁気の入った文房具やおもちゃ、磁気ネックレス、家電などの近くに置いておくだけでもデータが消える可能性があります。特にオーディオ機器などのスピーカーは強い磁気を発しているので、20~30cmの距離を開けて保管しましょう。
2-6.1年に1度は再生・早送り・巻き戻し
ビデオテープの映像をキレイに保つには、1年に1度は再生・早送り・巻き戻しの作業が必要不可欠です。
ビデオテープは磁気を利用して映像を記録しており、テープが重なった状態が長く続くと、磁気の干渉で映像や音声に乱れやノイズ入るおそれがあります。
また、温度や湿度によって、テープが膨張、収縮し、テープ自体がゆがむ可能性も否定できません。1年に1度の再生・早送り・巻き戻しはテープの劣化を防ぎ、ビデオテープ内の空気を新鮮なものと入れ替え、カビ予防にもつながるのです。
3.ビデオテープを完璧に保管しても見られなくなるかも
長期保存するためのポイントを抑えても、カビや劣化を100%の確率で防げるわけではありません。また、ビデオテープの保管が完璧でも、ビデオカメラやビデオデッキが故障してしまうと、映像が見られなくなります。
現在ビデオテープが入る、ビデオカメラやビデオデッキは生産・販売が終了されおり、修理も現存のパーツがなくなりしだい終了です。「思い出をずっと残しておきたい」のであれば、ビデオテープから別媒体へ保存しておくのも必要があります。
ビデオテープは温度や湿度に気を配る必要がありますが、映像をDVDへダビングしてしまえば、カビや劣化の心配いりません。大量のビデオテープは収納場所にも困りますが、DVDならかさばらず、収納もかんたんです。
ビデオテープはアナログ信号のため劣化し、画質が悪くなるおそれがありますが、DVDであれば、画質低下の心配はほぼいりません。
ビデオカメラやビデオデッキがなくなれば、せっかく保存したビデオテープの映像を見ることもできなくなります。映像を永久保存したいときは、再生機器がなくなる前に、DVDへのダビングをおすすめします。
まとめ
ビデオテープは人にとって居心地の良い場所に保存
ビデオテープを長期保存するポイントは、人にとっても居心地のいい場所に保管することです。
温度変化が激しい場所や、温度や湿度が高い場所には保存せず、風通しのよい場所で保管することを心がけましょう。